更新やモエ語りや感想(WJネタバレ注意!)お返事など。なんでもココ。更新ほとんど静止中。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
拍手ありがとうございます!嬉しいです! 人と人が支えあって人という文字が出来るらしいがウェブ拍手がウエブ拍手を支えあって…変なテンションが出来上がるらしい…
以下続きから再来週まで待てなくて妄想した勢いで書いためちゃ荒いブツをば更新…後でものすごいまちがえてることに気が付いたら消します。いつもサソリの旦那ばっかり良い役を取って大蛇丸様悪くてごめんそしてまだ医療班長薬師さんに夢を見ている。
『崩壊世界』
ドシリアスです欝展開注意。
以下続きから再来週まで待てなくて妄想した勢いで書いためちゃ荒いブツをば更新…後でものすごいまちがえてることに気が付いたら消します。いつもサソリの旦那ばっかり良い役を取って大蛇丸様悪くてごめんそしてまだ医療班長薬師さんに夢を見ている。
『崩壊世界』
ドシリアスです欝展開注意。
世界は崩壊した。だけどもカブトはまだ生きている。
マザー。
カブトの名前はそのひとがつけてくれた。カブトはそのひとに会う前のことは忘れてしまったけれど、そこでカブトはまた生まれなおした。カブトは頭に怪我をしていて、だから兜をかぶせてもらった。だからカブト。男の子らしいいい名前。カブトはうれしくて笑った。
カブトは目がよく見えない。だから眼鏡をもらった。眼鏡もそのひとにもらった。そうしたらぼやけていた世界はあっという間に良く見えるようになった。此処はどこで今は何時で自分は誰の子供なのか。カブトはうれしくて泣いた。ありがとうと言いながら泣いた。
カブトのマザーは優しく微笑む。カブトのマザーは癒してくれる。カブトのマザーは抱きしめてくれる。カブトのマザーはカブトをこの世界に生み出してくれたひと。カブトの世界そのもの。カブトの存在の意味をしめすひと。カブトの愛そのもの。
もらったものを返したくてカブトはマザーに医療忍術を教えてもらった。その力で人を癒してお金をもらう。カブトは稼いだお金でマザーに眼鏡を買ってあげた。マザーは微笑む。ありがとうと言われて。抱きしめられる。カブトはうれしくて。うれしくて。うれしくて。
マザーの為にならどんなことでもする。
そう、おもった。
夜のこと。
三人の男が院に来た。
男たちはマザーに任務を命じに現れた。マザーはくのいち。元くのいち。そんな予感はしていたけれど。忍に親を殺された戦災孤児達の母親は、やっぱり忍だったのだ。諜報部隊の"歩きの巫女"ノノウ。それがマザーの捨てた名前。
兄弟たちの誰もが、ウルシも皆も、忍のことは好きじゃない。親を殺されているから。忍達が始めて忍達が争う戦争が、彼等を孤児にしてしまっているから。この院の子供の中でほんとうの親の記憶が無いのはカブトくらいのもの。
カブトは言えない皆に言えないマザーも忍だったこと。カブトは言えない皆に言えない。三人の男が誰か一人、子供を連れていくと言ったこと。カブトは言えない皆に言えない。連れて行かれる子供は忍になることを。カブトは言えない皆に言えない。誰かが行けばこの院に、お金が入ってくることを。行かなければこの院は続いていくことが出来ないことを。
カブトを見つけてくれて。癒してくれて。名前をくれて。いろんなものをくれた。カブトは皆が好き。皆もカブトが好き。この院の皆は兄弟。此処がカブトの大切な場所。帰る場所。そしてカブトはマザーのこども。前のことを忘れてしまったマザーだけの子供。
忍のマザーのこどもなら、忍になれるのはボクしかいない。
もらった兜を置いて。カブトはひとりで院を出て行く。
どうして?と。マザーが哀しい顔で問う。誰も渡すつもりの無かったマザーにとって、ボクの行為は裏切り行為。
こっちにこいとウルシが叫ぶ。忍の嫌いなウルシにとって、ボクの行為は裏切り行為。
カブトは微笑む笑ってふりかえる。そして嘘をついた。
ボクは忍に向いている。医療忍術も極めたい。みんな、もうとっくに寝る時間だよ。さよならさよなら兄弟。家。おかあさん。
そしてカブトは忍になった。木ノ葉の里の忍になった。
カブトは売られた子供。お金でやりとりされた子供。カブトは奴隷。木ノ葉の奴隷。どんな汚い仕事だろうと、否と言わずにやり遂げる。それがカブトに課せられた任務。カブトは微笑むマザーのことを想いながら。カブトはどんなことでもする。兄弟のことを想いながら。カブトは。
雲隠れ。霧隠れ。砂隠れ。岩隠れ。カブトは里を転々とした。カブトはスパイ。何処に行っても裏切り者。何処に行っても嘘をつく。何処に行ってもその里の、ひとびとの輪には入れない。入り込んでも入れない。何処に行っても所詮。カブトは汚い裏切り者。好きになれそうなひとにも出会う。恋のようなものもする。友達になれそうなひとにも出会う。信頼できそうなひとにも出会う。カブトを信じてくれるひとにも出会う。カブトを自分の弟のように想う、想ってくれるひとにも出会う。カブトを友と呼ぶひとにも出会う。カブトを。好きになってくれる女の子にも、出会う。
だけどもカブトはその人たちに嘘をついてる裏切り者。
優しく微笑んで。そしてすぐにでも消えてしまう。
カブトは木ノ葉に戻るしかない。其処には誰もいなくても。カブトは院には帰れない。カブトは皆の裏切り者。カブトの居る場所は木ノ葉しかない。木ノ葉の闇のくらがりで、否とは言えない汚い任務を続けるしかない。任務を続けるカブトのことは木ノ葉の忍も認めてくれる。報酬を受け取りまた任務に行く。
だけども世界は崩壊した。
マザーを。壊した。
マザーはくのいち。元くのいち。諜報部隊"歩きの巫女"。カブトを連れ去る三人の男が来た夜に、マザーも任務を受けていた。子供たちの為に受けていた。脅迫されて脅されて。子供を盗るぞ金を奪うぞ。マザーも何処にも逃げられない。否とは言えない任務を受けた。カブトとマザーがかち合った。ヘマしたカブトをマザーとマザーの偽りの仲間が追って来た。カブトはそしてマザーを壊した。一瞬のこと壊さなければ此方が死んだ。忍になってから覚えた殺人技術。ひとを癒すはずの手が。ひとを殺すようになっていた。
気付いたカブトはマザーを癒した。教えてもらった医療忍術。もらった名前を叫んで呼んだ。ボクだよカブトだよマザーと。もらった眼鏡を返して自分を見せた。見えるでしょう。ボクだよマザー。アナタの子供のカブトだよ。ごめんね気がつかなかったんだ。今すぐ治してあげるから。絶対に助けるから。
だけどもマザーは誰なの?と。
カブトのことを忘れていた。
忘れられてしまっていた。
世界はそうして崩壊した。
水に映した自分の顔。眼鏡を外してよく見ても、ぼやけて何も分からない。これは誰だ? ボクは誰だ? ボクがしてきたことは何だ? ボクがもらってきたものはなんだったんだ? ボクが"自分"と感じていた、自分ってなんなんだ?
それはマザーの子供だった。マザーの存在が全てだった。マザーの子供である兄弟達。マザーがくれた眼鏡。マザーが教えてくれた医療忍術。マザーがくれた、カブトという名前。
此処に居る、マザーを壊した奴は誰だ?
これは、ボクじゃ、無い。本当のボクじゃない。
嘘つきカブトの嘘の自分。本当って何もうずっと、誰にも自分を見せてない。マザーに抱かれて笑う自分。兄弟と遊んで笑う自分。院の為にお金を稼いでこようとした自分。それが本当の自分。
ボクはカブト。ボクはマザーの子供。ボクは、嘘つきだけどそれでいい。それでよかっただって、マザーと兄弟が居るのだから。誰にも分かってもらえなくても。どんなに孤独でも。それでよかった。マザーさえボクを、知っていてくれていたら。覚えていてくれていたら。
愛してくれていたら。
水に映った自分が見えない。ぼやけた世界の何も見えない。
私は覚えているわよと。空虚な心に声が聞こえた。いい忍になったわねと。ねェカブト。私を覚えているかしら。アナタを見つけたもうひとり。アナタは忍に向いているわ。もったいないわと声をかけた。
私のことを。
世界は崩壊し。
カブトの運命は回り始める。
カブトの中で嘘の自分が語りかける。
スパイの仕事をこなし続ける、笑顔の優しい医療忍者。
マザーの姿を模倣した、信頼され愛され心の中に入り込み、幻惑する為のまぼろしの少年。世界の真実をよく知っている。
ホラ。よく考えてみるべきだね。カブト。
・・・そんな名前にはもう意味は無いかもしれないな。君は確かにカブトと呼ばれる。だけども君をカブトだと誰も認識していないのなら、君に名前なんて必要が無いものだよね。本当は自分はこうじゃない? 本当の自分かそんなものあるのか一体誰に見せるんだ? マザーかい?
マザーはもう君を忘れてしまったよ。
忘れさせられてしまったのかもしれないね。
誰にって? ちょっと考えれば分かりそうなものだ。
まあそんなことより自分は誰なのか?
水に映ったあいつ、そしてこのボクは。
本当の自分じゃないって話だったね。
だけどねカブト、君。
本当の自分なんて何処にもいないんだよ。
本当の自分を出せる場所が無ければ、そんなもの存在しないのさ。
ホラ。考えてみることだ。
君にはもう帰る場所も何処にも無いことを。
名前も無ければ自分も無い。居場所も無い。
木ノ葉? 其処に帰って何になる? 君があそこに居場所があるとでも? 君は任務に失敗した、ヘマをした。これで帰ってどうなると思う? 君はもう使えないのだ。君はもう、利用価値の無くなった忍。君はもう、任務に出ることは出来ないだろう? だって世界は崩壊した。支えていたものが無くなったのだ。君が任務を続けることが出来たのは、マザーの存在だった。そのマザーを壊した。それでもまだ院がある? マザーを壊した君が院に帰れるとでも? 何より君は元々裏切り者。忍に親を殺されている彼らが忍になった君を受け入れてくれるとでも? 仮に受け入れてもらえたとしよう、ありえない話だが。…それでもあの優しい兄弟たちなら許してくれるのかもしれないね。
そしてマザーのように忍をやめて子供たちを育てるファザーにでもなるか? どうやって? 理想論はいいさ現実的なことを考えよう。院には金が無かった。金が無いから君は忍になった。皆を裏切り忍になった。金ならあるな多少はな。君が汚い任務を続けて稼いだ金が。それが尽きたら里に援助してもらうかい木ノ葉の里に。君とマザーを戦い合わせた木ノ葉に。君とマザーを金で買った木ノ葉に。安いものだとダンゾウが言っていたな。ああそうさ。とても安い命だった。とても安い。とてもとても、君の世界そのものは安かった。君の世界の全ては君が貰った金銭と等価交換だ。君とマザーを破壊して、木ノ葉の里が与えた金だ。
そんな汚い金を使って、君は子供を育てる気なのか?
そんな汚い金を、忍に世界を壊された、それでも君を愛してくれた。あの優しい兄弟たちに渡すのか? 君にとってもマザーは全てだっただろうが、兄弟たちからマザーを奪ったのは君と、そして木ノ葉だぞ。
君に帰る場所など無い。
・・・そんなことは無い。ボクは木ノ葉の、人間だ。
本当にそうか? 君は木ノ葉の人間なのか? 君と木ノ葉は、そんなにも。たいせつなつながりのある、ものだったのか?
思い出してみるといい。木ノ葉の人間の中にひとりでも、君をマザー以上に愛してくれたひとがいるかな? ウルシのように、君を弟のように思ってくれたひとがいるのかな? ・・・そんなひと、木ノ葉にはいないんじゃないか? いたのは、嘘の自分にだけ。それも木ノ葉ではない場所で出合ったひとたちの中にいたんじゃなかったかい。
まあいいさ、木ノ葉に帰ればいい。其処に誰か居るのかどうか。
君自身が見て聞いて体験して、じっくり考えてみればいい。
必死に手を洗い続けがたがた震えるカブトを、木ノ葉の人間が回収した。そしてカブトが想像した通りのことが起った。カブトは任務から外された。カブトはダンゾウから見限られた。使えない親子だったものだと謗られた。役に立たない人間はいらないといわれた。カブトはそれでもカブトを認めてくれていた、任務をし続ける間はカブトを認めてくれていたひとたちを失った。カブトはただの敗残者・任務に失敗した男。世界の全てを木ノ葉に奪われ、だから崩壊した少年に与えられたのは冷たい視線。汚名と不名誉。カブトを迎えて君はよくやったと誉めるものは誰もいない。カブトを理解し次は頑張れよというものは誰もいない。カブトを抱きしめて。アナタが生きていてくれただけでも良かったのよと。いってくれるひとはいない。
カブトには友達はいない。
カブトには兄弟はいない。
カブトには親はいない。
カブトには、本当の仲間は誰もいない。
カブトには、返ってくるものはない。
底辺を。生きる日々が始まった。カブトは食べたものを吐くようになった。この里で、木ノ葉で、木ノ葉の為と使われた自分とマザーの代わりに得た、金を使って得たものを、食べることが苦痛になった。この里の空気を吸うのが苦しくなった。この里の、水を飲むことが。水で作られた食物を食べることが。この里の、全てがカブトには苦痛になった。
医療忍者の男が、衰弱していくカブトに気が付き自分の保護下においてくれた。カブトは男の養子になった。男に従い言う通りにした。カブトは薬を飲んで無理に自己を保ち続けた。薬を飲むのも苦痛だった。その薬の原材料も所詮は木ノ葉で作られているもの。金を使って購う物。カブトもマザーも金で買われた。木ノ葉の金で買われた。買って使われ捨てられた。壊された。壊れたカブトをまた金で、治そうとする。
治ればまた任務に出せる。そして壊れるまで使う。
壊れてもいいのだカブトは。どうせ金でまた別の子供を買ってくる。
代替品などいくらでもいる。カブトと同じ孤児の中から選んで木ノ葉はすぐにでも買ってくる。いくらでもいる戦争孤児は。
いくらでもいる自分を売って兄弟達の為に忍になる子供は。
カブトの心には憎しみが芽生えている。
黒い黒い、憎しみが。
カブトは自分と同世代の人間が憎い。カブトとはちがう、この里に生まれてこの里に育ち親を持ち何処かで生まれて何処かから買われて来て親を持たない自分達孤児を汚い任務に就かせておいて、失敗したらせせら笑って拒絶した同世代の人間が憎い。忍の子供が憎い。忍に成るものが憎い。成ってそいつらが何をするのか知っていることが憎い。
カブトは兄弟たちと同じ年代の人間が憎い。その上の世代が憎い。その上の世代も憎い。どいつもこいつもただただ木ノ葉の為にと言いながら、木ノ葉でないものを苦しめて親を殺して孤児を作り、それを金で買って自分達木ノ葉の為に使い捨てにする忍者たちが憎い。その為に兄弟たちが受けた苦しみを知らない兄弟たちの同世代の人間が憎い。彼等を苦しめた原因を作ったのにもかかわらず彼等を見捨てた木ノ葉が憎い。
目の前に金をぶらさげて、孤児の彼等を癒してくれていた、マザーを木ノ葉の為に任務に就かせカブトに壊させた、忍の世界の全てのものが憎い。
カブトはそして自分が憎い。忍の自分が憎い。何処にも居場所のない自分。誰でもない自分。嘘の自分。木ノ葉に居ながら木ノ葉を憎む。木ノ葉のものを食う自分。木ノ葉の水を飲む自分。木ノ葉の空気を吸う自分。マザーを壊した自分が憎い。木ノ葉に捧げた全てが憎い。木ノ葉から返ってくるものが、何もない自分が憎い。
この里に、居る意味が見出せない自分が、憎い。
世界の全てに怨嗟の念を、吐き散らかしている。
マザーはこんなボクを愛してくれるわけが無い。忘れてしまって当然だ。
暗い時代。カブトは偽りの設定を用意してもらい下忍からやりなおしを始める。いつも食べたものは吐いてしまう。失敗ばかりをする。薬を使って無理に眠り無理に起き無理に任務に出る。誰からも認めてもらえない。誰もいない。かろうじて医療班長の男だけが世界とカブトをつなげている。カブトは男に従い術を磨くことに集中した。その時だけは楽になれた。医療忍術は自分とマザーを繋いでくれるもの。ひとを癒し続ける間はカブトは本当の自分に戻れた。
だがその相手が木ノ葉の人間であることがカブトを苦しめる。木ノ葉に壊されてしまった自分が木ノ葉の人間を癒している。自分を癒すものは誰もいないというのに。外に出たい。せめて前のように他国任務であればコレほど苦しむことはないかもしれない。だが他国に行ったところでカブトは何処でも裏切り者。汚いスパイ。其処でひとを癒した所でカブトは誰のことも手に入れることは出来ない。
そもそもこんな状態では、そんな任務に戻してもらうことも出来ない。袋小路だ。
優しく微笑み信頼される嘘の自分を維持できなければ。
ここから出て行くことは出来ない。
そんな奴が憎くてたまらない自分が。
そんな奴にならなくては此処から出て行くことすら出来ない。
カブトは誰のことも好きにはなれない。ただ憎い。木ノ葉であるだけで誰のことも憎い。ただ、ただ。年齢の離れた世代にだけは。
かつての院に居た時の兄弟と自分の年の年齢の子供達だけは。
向ける感情が少しだけちがった。
その中のひとり。
うずまきナルトという子供は特別だった。
カブトの世界の片隅で、同じように孤独に生きるちいさな暴風。いたずらっ子のうずまきナルト。九尾の妖狐の器。人柱力。里の英雄四代目火影の息子。だけども里人の憎しみを、その小さな身に一身に受ける。冷たい視線に晒されて、怖気ず強く走り回る。カブトとナルトは同じ孤児。里の為に人柱力にされ里の為に利用され里の為に憎しみを買って。カブトと同じ視線の只中にいる。彼の存在にカブトは感情移入した。
カブトはこの里のエリート共が憎い。木ノ葉の為になんでもするような連中が憎い。彼等の中にある、自分と自分の延長である同じ思想の持ち主に対する愛と、反して他者に対する圧倒的なまでの排斥意識が。憎い。何よりの証拠が自分であり、自分と同じ境遇の孤児たちへの扱いだ。
だけどもナルトはエリートの子供であるにも関わらず、そんなことは関係が無いほど疎まれている。排斥されている。憎まれている。
憎しみを受けてもそれに飲み込まれること無く視線を跳ね返している。
うずまきナルトの存在がカブトをなんとか支えてくれる。
彼のように強くありたいと思う。
カブトは木ノ葉を出て行くことを考える。大蛇丸様のように。彼から聞く“暁”という組織の話。
親を、木ノ葉に殺された。そんな人間の作った組織の存在に惹かれる。其処でなら生きていけるのかもしれない。其処には居場所があるのかもしれない。この里を出て、“暁”へ。そして木ノ葉を。カブトとマザーを壊した里へ復讐を。する為の仲間になってくれるかもしれない。カブトは“暁”に近付いて。そして。赤砂のサソリと云う男に出会う。男は木ノ葉の人間に、自分の親を殺された忍。木ノ葉の白い牙という、とう昔に任務に失敗して自決した男が彼の仇だった。それはまるでカブトのような男だ。カブトはサソリに問うてみた。復讐がしたくはないのかと。
男のうつろな声が響いた。くだらねェよと声が響いた。
オレの仇は木ノ葉じゃねェ。そんなもんもうどうでもいいんだよ。復讐? くだらねェんだよ。この世で重要なのは真の芸術だけ。オレの作る人傀儡は美を永遠に残す。とうの昔に腐り果てたドコゾの男がオレのとうに昔に捨てたオヤジやオフクロの仇だろうが何の関係がある。
対象は誰だっていい。誰でも同じだ。誰だって殺して誰だって操って誰だって奪って誰だって壊す。それの何がいけない?
いけないと思うのか?
お前はまだ分かってねェようだな。甘ぇんだよ。
そうかよオフクロを壊されたのか。それでお前も壊れたのかよ。クソくだらねェ世界に復讐をしてえのかよ。なら、少しはその世界を知ることだ。お前を壊した奴等を全員みなぶち殺して引きずって操って使い捨てにしてやれよ皆やってきたことだ。
お前もオレも世界に随分壊されてきたが壊すのは何もあいつ等だけの特権じゃねェ。今度はお前がやられたことをそのまま返してみたらどうだ。ただくだらねェ復讐とやらにゃ興味がねェ。お前も所詮オレの手駒だ悔しいならオレから奪うことだな。権利を獲得する人間は一握りしかいねェんだよ。奪えよ殺せよ操れよ。
オレの術から逃げてみろ。一度忘れさせてやるから思い出せ。
思い出せねえ程度の事なら忘れてしまえよ楽になるぜ。
思い出したら始めるといいぜ。全てのものへ復讐を。
くだらねェ復讐とやらをよ。
そして高らかに笑うといいぜ。
そしたらお前を認めてやる。たいしたガキだと認めてやるよ。
カブトはサソリに記憶を消された。憎しみそのものを。にくしんでいた事そのものを、うつろになったカブトはサソリに大蛇丸に近付くように命ぜられた。そして罠にかけるように。罠にかけて自分に捧げるように。自分を見てくれるもうひとり、マザーのようにカブトを見てくれるただひとりを。そのひとりを裏切るように仕向けられた。
お前は殺戮人形。意思など必要が無い。操り傀儡。
カブトはサソリに裏切られた。
カブトは“暁”に裏切られた。
所詮カブトは只の手駒。都合のいいもの使い捨て。それは同じ木ノ葉に親を殺された仲間であっても関係が無い。仲間など、この世にいない。誰もいない。誰もいないのだ。世界には。君の都合のいいものなどいない。君を理解するものなどいない。君を助けてくれるものなどいない。君を癒すものはいない。お前は一人だ。
ひとりで院を出て行った。
だからお前はひとりのままだ。
見つけてくれたひとを壊した。
見出してくれたひとも壊す。
それで何がいけない? お前には何も無い。お前は誰でもない。
お前はただ。この世界から好きなようにされているだけのもの。
お前は誰にも関係が無い。
誰を壊そうが関係が無い。
操られたカブトを大蛇丸が迎え撃つ、カブトを捕え押さえつけてサソリの掛けた術を解いた。カブトの憎しみが戻ってきた。忘れた憎しみが戻ってきた。カブトを捉えた大蛇丸が笑う。
ねェカブト・・・これで分かったでしょう? アナタには私しかいないこと。アナタには仲間なんていないこと。本当のアナタを覚えているのも理解するのも助けるのも私だけだと思わない? サソリは酷い男でしょう。アナタの記憶を消したのね、サソリのやりそうなことだわ。
サソリは生まれたときから忍。
忍のやることは分かっているでしょうカブト。
アナタだって忍だもの。忍のやるべきことは分かってるはずよ。
ねえ考えてみることね。カブト。
アナタ、記憶が無いのでしょう?
マザーに拾われる前のこと。
アナタの記憶を消したのは誰だったのかしら。記憶は消えたの? 頭を怪我して? 消されたと言う方が説得力があるわ。それはサソリかもしれないわね。そうじゃないのかもしれない。だけどもそうかもしれないわね。こんな気はしないかしら?
アナタはアナタのマザーに出会う前にサソリの子供だったのよ。サソリじゃないかもしれないけれど、記憶を消す術があるのよアナタも体験したとおりにね。アナタは誰かの子供だった。忍の子供。そしていらなくなって捨てられたの。そうじゃないかしら?
そうでなくても何かを知りすぎていたのなら、当然記憶は消さないと。
アナタを消すか記憶を消すか。二者択一を迫られて記憶を消したのかもしれないわね。それなら多少は良い親だったのかしらね?
何も覚えていないでしょう?
思い出すことも出来ないでしょう?
アナタ。院に居た時からずっと。
皆にとって裏切り者だったのよ。
木ノ葉に来る前からそうだったのよ。忘れてしまっていただけで。
アナタもやっぱり忍。とてもいい、忍。
木ノ葉がアナタを忍にして壊したけれど。元からアナタは裏切り者よ。
世界は崩壊してしまった。
カブトは笑う。高らかに。ハハハ ハハハ ハハハ ハハハ。
大蛇丸の前で笑い続けた。笑うカブトを大蛇丸も満足そうに見ていた。
世界は壊れてしまった。
無くなってしまった。
破壊されてしまった。
誰が壊した? 自分だ。カブトだ。カブトが自分で破壊したんだ。
世界はマザーそのもので。だけどもカブトが自分で壊した。
マザーが居ない世界でも、カブトはまだ生きている。
生きている。生きている。生きている。
生き続けてやる。強く。
憎しみ? 復讐? 怨嗟? それが何だと言うんだ。
そうだくだらない物事だ。だけども消えてなくなってどうする。消してしまってどうする。勝手に消してしまってどうする。ああ確かにくだらない憎しみだ。くだらない復讐だ。世界中に毒を撒き散らし、怨嗟の念を吐き散らかして、憎しみの虜になってしまった。こんな自分はもうマザーの子供には戻れない。だからその、くだらないことを。くだらないからいっそ徹底的にやるべきだ。感情に振り回されてどうするんだ。感情を磨耗させきった上で実行するんだ。冷静に。辛抱強く。自分を殺して。それが忍だ。そう教わって来た。
うつろな男のうつろな言葉、うつろだけどもちからのある言葉。
復讐を超えた男復讐心を磨耗させた男自己の永遠を追いかける男。
カブトの幼稚な憎しみを否定した。高らかに笑い忘れさせた消し去った。そんなことより永遠に残るものを作れ。操れ殺せ壊せ奪え。ぶち殺して引きずって使って使い捨てにしろ。お前にされたことをそのまま返してやれ。何がいけない? いけないと思うか? 甘ェんだよ。
悔しかったらオレから奪え。権利を獲得して見せろ。
そしたらお前を認めてやる。
なんと素晴しい世界認識。おかげで世界の見え方が変わった。
とてもうれしいよサソリ。
感謝しているよダンゾウ。感謝しているよ木ノ葉。感謝してますよ大蛇丸様。ボクの存在意義が見えてきた。世界に対して徹底的にやることだ。全てはその為だけにあるのだ。世界に壊されたのだから世界を壊して高らかに笑う。関係が無いだって? いいや関係はある。ボクは忍だ。忍であるボクの関係者は全忍だ。全てがボクの関係者だ。忍であることそのものが忍のボクに関係するのだ。
この世界を壊すのだ。
忍の世界を壊すのだ。徹底的に。
木ノ葉の為にと大儀を掲げボク達を壊したもの。
安いものだと侮ったもの。
ボクを見下し不名誉と汚名を与えたもの。
忍に生まれ忍に育ち忍に成り。
忍に成ったものは全部がボクの対象者だ。それは誰でもいい。
無関係のものなど何処にもいないのだ。
あいつらの大切にしているものを奪うのだ。
あいつらの信念を砕くのだ。
あいつらの存在を否定してやるのだ。
あいつらを。支配して操って優位に立って壊すのだ。
そしてソレは復讐なんかじゃない。ただルールに従って行うだけだ。忍の世界が出来た時から始まっている純然たる世界のルール。社会のルール。忍のルール。戦争のルール。この世界のシステムに沿ったルール。忍になった以上忍のルールに従うのは当然だ。その為に何をされても何を行ってもそれは忍になった自分の責任だ。自分でなっておいてルールに従わないなど愚かなことだ。
全ての忍の頂点に立って、そして真理を見る。
大蛇丸様。やってくださるんでしょう大蛇丸様。
だってアナタも木ノ葉の人間。
ボクを連れ去った木ノ葉の人間。
アナタはボクを見出した。マザーからボクを引き離し。ボクからマザーを引き離し。闇の世界へ連れて行ってくれた。アナタはボクにとって木ノ葉そのもの。アナタが木ノ葉を体現するもの。
木ノ葉の人間が木ノ葉の人間を壊す所を見せて下さい。
そして高らかに笑うのだ。
世界の支配者は私だと。この世の真理を手に入れるのだと。
そして木ノ葉は滅びるのだと。
そして木ノ葉はボクのものになる。
木ノ葉隠れの里全てを、平気な顔をして食べてしまう。食べてやるとも水も空気も食べ物も、薬も毒も闇も光も渾然一体となってボクの腹の中に納めてやるよ。忍の全てを手に入れて。身体にとりこみ完成された生命になる。そして。・・・そして。
・・・そうしたら。
忍を全てたいらげたら。ボクは何処かにいけるのかな。
ボクは本当の自分に戻れるのかな。
ボクをマザーは思い出してくれるのかな。
皆と兄弟になれるのかな。
みんなとなかよくできるのかなあ。嘘つきをやめることはできるのかな。
こんなカブトでも。まだ生きていていいと思えるようになるのかな。
世界は崩壊したのに、世界に準じて死ねなくて。
マザーを壊してしまったのに、一緒に死ぬことも出来なくて。
生き残ってしまった自分を許せるようになるのかな。
マザー。
カブトの名前はそのひとがつけてくれた。カブトはそのひとに会う前のことは忘れてしまったけれど、そこでカブトはまた生まれなおした。カブトは頭に怪我をしていて、だから兜をかぶせてもらった。だからカブト。男の子らしいいい名前。カブトはうれしくて笑った。
カブトは目がよく見えない。だから眼鏡をもらった。眼鏡もそのひとにもらった。そうしたらぼやけていた世界はあっという間に良く見えるようになった。此処はどこで今は何時で自分は誰の子供なのか。カブトはうれしくて泣いた。ありがとうと言いながら泣いた。
カブトのマザーは優しく微笑む。カブトのマザーは癒してくれる。カブトのマザーは抱きしめてくれる。カブトのマザーはカブトをこの世界に生み出してくれたひと。カブトの世界そのもの。カブトの存在の意味をしめすひと。カブトの愛そのもの。
もらったものを返したくてカブトはマザーに医療忍術を教えてもらった。その力で人を癒してお金をもらう。カブトは稼いだお金でマザーに眼鏡を買ってあげた。マザーは微笑む。ありがとうと言われて。抱きしめられる。カブトはうれしくて。うれしくて。うれしくて。
マザーの為にならどんなことでもする。
そう、おもった。
夜のこと。
三人の男が院に来た。
男たちはマザーに任務を命じに現れた。マザーはくのいち。元くのいち。そんな予感はしていたけれど。忍に親を殺された戦災孤児達の母親は、やっぱり忍だったのだ。諜報部隊の"歩きの巫女"ノノウ。それがマザーの捨てた名前。
兄弟たちの誰もが、ウルシも皆も、忍のことは好きじゃない。親を殺されているから。忍達が始めて忍達が争う戦争が、彼等を孤児にしてしまっているから。この院の子供の中でほんとうの親の記憶が無いのはカブトくらいのもの。
カブトは言えない皆に言えないマザーも忍だったこと。カブトは言えない皆に言えない。三人の男が誰か一人、子供を連れていくと言ったこと。カブトは言えない皆に言えない。連れて行かれる子供は忍になることを。カブトは言えない皆に言えない。誰かが行けばこの院に、お金が入ってくることを。行かなければこの院は続いていくことが出来ないことを。
カブトを見つけてくれて。癒してくれて。名前をくれて。いろんなものをくれた。カブトは皆が好き。皆もカブトが好き。この院の皆は兄弟。此処がカブトの大切な場所。帰る場所。そしてカブトはマザーのこども。前のことを忘れてしまったマザーだけの子供。
忍のマザーのこどもなら、忍になれるのはボクしかいない。
もらった兜を置いて。カブトはひとりで院を出て行く。
どうして?と。マザーが哀しい顔で問う。誰も渡すつもりの無かったマザーにとって、ボクの行為は裏切り行為。
こっちにこいとウルシが叫ぶ。忍の嫌いなウルシにとって、ボクの行為は裏切り行為。
カブトは微笑む笑ってふりかえる。そして嘘をついた。
ボクは忍に向いている。医療忍術も極めたい。みんな、もうとっくに寝る時間だよ。さよならさよなら兄弟。家。おかあさん。
そしてカブトは忍になった。木ノ葉の里の忍になった。
カブトは売られた子供。お金でやりとりされた子供。カブトは奴隷。木ノ葉の奴隷。どんな汚い仕事だろうと、否と言わずにやり遂げる。それがカブトに課せられた任務。カブトは微笑むマザーのことを想いながら。カブトはどんなことでもする。兄弟のことを想いながら。カブトは。
雲隠れ。霧隠れ。砂隠れ。岩隠れ。カブトは里を転々とした。カブトはスパイ。何処に行っても裏切り者。何処に行っても嘘をつく。何処に行ってもその里の、ひとびとの輪には入れない。入り込んでも入れない。何処に行っても所詮。カブトは汚い裏切り者。好きになれそうなひとにも出会う。恋のようなものもする。友達になれそうなひとにも出会う。信頼できそうなひとにも出会う。カブトを信じてくれるひとにも出会う。カブトを自分の弟のように想う、想ってくれるひとにも出会う。カブトを友と呼ぶひとにも出会う。カブトを。好きになってくれる女の子にも、出会う。
だけどもカブトはその人たちに嘘をついてる裏切り者。
優しく微笑んで。そしてすぐにでも消えてしまう。
カブトは木ノ葉に戻るしかない。其処には誰もいなくても。カブトは院には帰れない。カブトは皆の裏切り者。カブトの居る場所は木ノ葉しかない。木ノ葉の闇のくらがりで、否とは言えない汚い任務を続けるしかない。任務を続けるカブトのことは木ノ葉の忍も認めてくれる。報酬を受け取りまた任務に行く。
だけども世界は崩壊した。
マザーを。壊した。
マザーはくのいち。元くのいち。諜報部隊"歩きの巫女"。カブトを連れ去る三人の男が来た夜に、マザーも任務を受けていた。子供たちの為に受けていた。脅迫されて脅されて。子供を盗るぞ金を奪うぞ。マザーも何処にも逃げられない。否とは言えない任務を受けた。カブトとマザーがかち合った。ヘマしたカブトをマザーとマザーの偽りの仲間が追って来た。カブトはそしてマザーを壊した。一瞬のこと壊さなければ此方が死んだ。忍になってから覚えた殺人技術。ひとを癒すはずの手が。ひとを殺すようになっていた。
気付いたカブトはマザーを癒した。教えてもらった医療忍術。もらった名前を叫んで呼んだ。ボクだよカブトだよマザーと。もらった眼鏡を返して自分を見せた。見えるでしょう。ボクだよマザー。アナタの子供のカブトだよ。ごめんね気がつかなかったんだ。今すぐ治してあげるから。絶対に助けるから。
だけどもマザーは誰なの?と。
カブトのことを忘れていた。
忘れられてしまっていた。
世界はそうして崩壊した。
水に映した自分の顔。眼鏡を外してよく見ても、ぼやけて何も分からない。これは誰だ? ボクは誰だ? ボクがしてきたことは何だ? ボクがもらってきたものはなんだったんだ? ボクが"自分"と感じていた、自分ってなんなんだ?
それはマザーの子供だった。マザーの存在が全てだった。マザーの子供である兄弟達。マザーがくれた眼鏡。マザーが教えてくれた医療忍術。マザーがくれた、カブトという名前。
此処に居る、マザーを壊した奴は誰だ?
これは、ボクじゃ、無い。本当のボクじゃない。
嘘つきカブトの嘘の自分。本当って何もうずっと、誰にも自分を見せてない。マザーに抱かれて笑う自分。兄弟と遊んで笑う自分。院の為にお金を稼いでこようとした自分。それが本当の自分。
ボクはカブト。ボクはマザーの子供。ボクは、嘘つきだけどそれでいい。それでよかっただって、マザーと兄弟が居るのだから。誰にも分かってもらえなくても。どんなに孤独でも。それでよかった。マザーさえボクを、知っていてくれていたら。覚えていてくれていたら。
愛してくれていたら。
水に映った自分が見えない。ぼやけた世界の何も見えない。
私は覚えているわよと。空虚な心に声が聞こえた。いい忍になったわねと。ねェカブト。私を覚えているかしら。アナタを見つけたもうひとり。アナタは忍に向いているわ。もったいないわと声をかけた。
私のことを。
世界は崩壊し。
カブトの運命は回り始める。
カブトの中で嘘の自分が語りかける。
スパイの仕事をこなし続ける、笑顔の優しい医療忍者。
マザーの姿を模倣した、信頼され愛され心の中に入り込み、幻惑する為のまぼろしの少年。世界の真実をよく知っている。
ホラ。よく考えてみるべきだね。カブト。
・・・そんな名前にはもう意味は無いかもしれないな。君は確かにカブトと呼ばれる。だけども君をカブトだと誰も認識していないのなら、君に名前なんて必要が無いものだよね。本当は自分はこうじゃない? 本当の自分かそんなものあるのか一体誰に見せるんだ? マザーかい?
マザーはもう君を忘れてしまったよ。
忘れさせられてしまったのかもしれないね。
誰にって? ちょっと考えれば分かりそうなものだ。
まあそんなことより自分は誰なのか?
水に映ったあいつ、そしてこのボクは。
本当の自分じゃないって話だったね。
だけどねカブト、君。
本当の自分なんて何処にもいないんだよ。
本当の自分を出せる場所が無ければ、そんなもの存在しないのさ。
ホラ。考えてみることだ。
君にはもう帰る場所も何処にも無いことを。
名前も無ければ自分も無い。居場所も無い。
木ノ葉? 其処に帰って何になる? 君があそこに居場所があるとでも? 君は任務に失敗した、ヘマをした。これで帰ってどうなると思う? 君はもう使えないのだ。君はもう、利用価値の無くなった忍。君はもう、任務に出ることは出来ないだろう? だって世界は崩壊した。支えていたものが無くなったのだ。君が任務を続けることが出来たのは、マザーの存在だった。そのマザーを壊した。それでもまだ院がある? マザーを壊した君が院に帰れるとでも? 何より君は元々裏切り者。忍に親を殺されている彼らが忍になった君を受け入れてくれるとでも? 仮に受け入れてもらえたとしよう、ありえない話だが。…それでもあの優しい兄弟たちなら許してくれるのかもしれないね。
そしてマザーのように忍をやめて子供たちを育てるファザーにでもなるか? どうやって? 理想論はいいさ現実的なことを考えよう。院には金が無かった。金が無いから君は忍になった。皆を裏切り忍になった。金ならあるな多少はな。君が汚い任務を続けて稼いだ金が。それが尽きたら里に援助してもらうかい木ノ葉の里に。君とマザーを戦い合わせた木ノ葉に。君とマザーを金で買った木ノ葉に。安いものだとダンゾウが言っていたな。ああそうさ。とても安い命だった。とても安い。とてもとても、君の世界そのものは安かった。君の世界の全ては君が貰った金銭と等価交換だ。君とマザーを破壊して、木ノ葉の里が与えた金だ。
そんな汚い金を使って、君は子供を育てる気なのか?
そんな汚い金を、忍に世界を壊された、それでも君を愛してくれた。あの優しい兄弟たちに渡すのか? 君にとってもマザーは全てだっただろうが、兄弟たちからマザーを奪ったのは君と、そして木ノ葉だぞ。
君に帰る場所など無い。
・・・そんなことは無い。ボクは木ノ葉の、人間だ。
本当にそうか? 君は木ノ葉の人間なのか? 君と木ノ葉は、そんなにも。たいせつなつながりのある、ものだったのか?
思い出してみるといい。木ノ葉の人間の中にひとりでも、君をマザー以上に愛してくれたひとがいるかな? ウルシのように、君を弟のように思ってくれたひとがいるのかな? ・・・そんなひと、木ノ葉にはいないんじゃないか? いたのは、嘘の自分にだけ。それも木ノ葉ではない場所で出合ったひとたちの中にいたんじゃなかったかい。
まあいいさ、木ノ葉に帰ればいい。其処に誰か居るのかどうか。
君自身が見て聞いて体験して、じっくり考えてみればいい。
必死に手を洗い続けがたがた震えるカブトを、木ノ葉の人間が回収した。そしてカブトが想像した通りのことが起った。カブトは任務から外された。カブトはダンゾウから見限られた。使えない親子だったものだと謗られた。役に立たない人間はいらないといわれた。カブトはそれでもカブトを認めてくれていた、任務をし続ける間はカブトを認めてくれていたひとたちを失った。カブトはただの敗残者・任務に失敗した男。世界の全てを木ノ葉に奪われ、だから崩壊した少年に与えられたのは冷たい視線。汚名と不名誉。カブトを迎えて君はよくやったと誉めるものは誰もいない。カブトを理解し次は頑張れよというものは誰もいない。カブトを抱きしめて。アナタが生きていてくれただけでも良かったのよと。いってくれるひとはいない。
カブトには友達はいない。
カブトには兄弟はいない。
カブトには親はいない。
カブトには、本当の仲間は誰もいない。
カブトには、返ってくるものはない。
底辺を。生きる日々が始まった。カブトは食べたものを吐くようになった。この里で、木ノ葉で、木ノ葉の為と使われた自分とマザーの代わりに得た、金を使って得たものを、食べることが苦痛になった。この里の空気を吸うのが苦しくなった。この里の、水を飲むことが。水で作られた食物を食べることが。この里の、全てがカブトには苦痛になった。
医療忍者の男が、衰弱していくカブトに気が付き自分の保護下においてくれた。カブトは男の養子になった。男に従い言う通りにした。カブトは薬を飲んで無理に自己を保ち続けた。薬を飲むのも苦痛だった。その薬の原材料も所詮は木ノ葉で作られているもの。金を使って購う物。カブトもマザーも金で買われた。木ノ葉の金で買われた。買って使われ捨てられた。壊された。壊れたカブトをまた金で、治そうとする。
治ればまた任務に出せる。そして壊れるまで使う。
壊れてもいいのだカブトは。どうせ金でまた別の子供を買ってくる。
代替品などいくらでもいる。カブトと同じ孤児の中から選んで木ノ葉はすぐにでも買ってくる。いくらでもいる戦争孤児は。
いくらでもいる自分を売って兄弟達の為に忍になる子供は。
カブトの心には憎しみが芽生えている。
黒い黒い、憎しみが。
カブトは自分と同世代の人間が憎い。カブトとはちがう、この里に生まれてこの里に育ち親を持ち何処かで生まれて何処かから買われて来て親を持たない自分達孤児を汚い任務に就かせておいて、失敗したらせせら笑って拒絶した同世代の人間が憎い。忍の子供が憎い。忍に成るものが憎い。成ってそいつらが何をするのか知っていることが憎い。
カブトは兄弟たちと同じ年代の人間が憎い。その上の世代が憎い。その上の世代も憎い。どいつもこいつもただただ木ノ葉の為にと言いながら、木ノ葉でないものを苦しめて親を殺して孤児を作り、それを金で買って自分達木ノ葉の為に使い捨てにする忍者たちが憎い。その為に兄弟たちが受けた苦しみを知らない兄弟たちの同世代の人間が憎い。彼等を苦しめた原因を作ったのにもかかわらず彼等を見捨てた木ノ葉が憎い。
目の前に金をぶらさげて、孤児の彼等を癒してくれていた、マザーを木ノ葉の為に任務に就かせカブトに壊させた、忍の世界の全てのものが憎い。
カブトはそして自分が憎い。忍の自分が憎い。何処にも居場所のない自分。誰でもない自分。嘘の自分。木ノ葉に居ながら木ノ葉を憎む。木ノ葉のものを食う自分。木ノ葉の水を飲む自分。木ノ葉の空気を吸う自分。マザーを壊した自分が憎い。木ノ葉に捧げた全てが憎い。木ノ葉から返ってくるものが、何もない自分が憎い。
この里に、居る意味が見出せない自分が、憎い。
世界の全てに怨嗟の念を、吐き散らかしている。
マザーはこんなボクを愛してくれるわけが無い。忘れてしまって当然だ。
暗い時代。カブトは偽りの設定を用意してもらい下忍からやりなおしを始める。いつも食べたものは吐いてしまう。失敗ばかりをする。薬を使って無理に眠り無理に起き無理に任務に出る。誰からも認めてもらえない。誰もいない。かろうじて医療班長の男だけが世界とカブトをつなげている。カブトは男に従い術を磨くことに集中した。その時だけは楽になれた。医療忍術は自分とマザーを繋いでくれるもの。ひとを癒し続ける間はカブトは本当の自分に戻れた。
だがその相手が木ノ葉の人間であることがカブトを苦しめる。木ノ葉に壊されてしまった自分が木ノ葉の人間を癒している。自分を癒すものは誰もいないというのに。外に出たい。せめて前のように他国任務であればコレほど苦しむことはないかもしれない。だが他国に行ったところでカブトは何処でも裏切り者。汚いスパイ。其処でひとを癒した所でカブトは誰のことも手に入れることは出来ない。
そもそもこんな状態では、そんな任務に戻してもらうことも出来ない。袋小路だ。
優しく微笑み信頼される嘘の自分を維持できなければ。
ここから出て行くことは出来ない。
そんな奴が憎くてたまらない自分が。
そんな奴にならなくては此処から出て行くことすら出来ない。
カブトは誰のことも好きにはなれない。ただ憎い。木ノ葉であるだけで誰のことも憎い。ただ、ただ。年齢の離れた世代にだけは。
かつての院に居た時の兄弟と自分の年の年齢の子供達だけは。
向ける感情が少しだけちがった。
その中のひとり。
うずまきナルトという子供は特別だった。
カブトの世界の片隅で、同じように孤独に生きるちいさな暴風。いたずらっ子のうずまきナルト。九尾の妖狐の器。人柱力。里の英雄四代目火影の息子。だけども里人の憎しみを、その小さな身に一身に受ける。冷たい視線に晒されて、怖気ず強く走り回る。カブトとナルトは同じ孤児。里の為に人柱力にされ里の為に利用され里の為に憎しみを買って。カブトと同じ視線の只中にいる。彼の存在にカブトは感情移入した。
カブトはこの里のエリート共が憎い。木ノ葉の為になんでもするような連中が憎い。彼等の中にある、自分と自分の延長である同じ思想の持ち主に対する愛と、反して他者に対する圧倒的なまでの排斥意識が。憎い。何よりの証拠が自分であり、自分と同じ境遇の孤児たちへの扱いだ。
だけどもナルトはエリートの子供であるにも関わらず、そんなことは関係が無いほど疎まれている。排斥されている。憎まれている。
憎しみを受けてもそれに飲み込まれること無く視線を跳ね返している。
うずまきナルトの存在がカブトをなんとか支えてくれる。
彼のように強くありたいと思う。
カブトは木ノ葉を出て行くことを考える。大蛇丸様のように。彼から聞く“暁”という組織の話。
親を、木ノ葉に殺された。そんな人間の作った組織の存在に惹かれる。其処でなら生きていけるのかもしれない。其処には居場所があるのかもしれない。この里を出て、“暁”へ。そして木ノ葉を。カブトとマザーを壊した里へ復讐を。する為の仲間になってくれるかもしれない。カブトは“暁”に近付いて。そして。赤砂のサソリと云う男に出会う。男は木ノ葉の人間に、自分の親を殺された忍。木ノ葉の白い牙という、とう昔に任務に失敗して自決した男が彼の仇だった。それはまるでカブトのような男だ。カブトはサソリに問うてみた。復讐がしたくはないのかと。
男のうつろな声が響いた。くだらねェよと声が響いた。
オレの仇は木ノ葉じゃねェ。そんなもんもうどうでもいいんだよ。復讐? くだらねェんだよ。この世で重要なのは真の芸術だけ。オレの作る人傀儡は美を永遠に残す。とうの昔に腐り果てたドコゾの男がオレのとうに昔に捨てたオヤジやオフクロの仇だろうが何の関係がある。
対象は誰だっていい。誰でも同じだ。誰だって殺して誰だって操って誰だって奪って誰だって壊す。それの何がいけない?
いけないと思うのか?
お前はまだ分かってねェようだな。甘ぇんだよ。
そうかよオフクロを壊されたのか。それでお前も壊れたのかよ。クソくだらねェ世界に復讐をしてえのかよ。なら、少しはその世界を知ることだ。お前を壊した奴等を全員みなぶち殺して引きずって操って使い捨てにしてやれよ皆やってきたことだ。
お前もオレも世界に随分壊されてきたが壊すのは何もあいつ等だけの特権じゃねェ。今度はお前がやられたことをそのまま返してみたらどうだ。ただくだらねェ復讐とやらにゃ興味がねェ。お前も所詮オレの手駒だ悔しいならオレから奪うことだな。権利を獲得する人間は一握りしかいねェんだよ。奪えよ殺せよ操れよ。
オレの術から逃げてみろ。一度忘れさせてやるから思い出せ。
思い出せねえ程度の事なら忘れてしまえよ楽になるぜ。
思い出したら始めるといいぜ。全てのものへ復讐を。
くだらねェ復讐とやらをよ。
そして高らかに笑うといいぜ。
そしたらお前を認めてやる。たいしたガキだと認めてやるよ。
カブトはサソリに記憶を消された。憎しみそのものを。にくしんでいた事そのものを、うつろになったカブトはサソリに大蛇丸に近付くように命ぜられた。そして罠にかけるように。罠にかけて自分に捧げるように。自分を見てくれるもうひとり、マザーのようにカブトを見てくれるただひとりを。そのひとりを裏切るように仕向けられた。
お前は殺戮人形。意思など必要が無い。操り傀儡。
カブトはサソリに裏切られた。
カブトは“暁”に裏切られた。
所詮カブトは只の手駒。都合のいいもの使い捨て。それは同じ木ノ葉に親を殺された仲間であっても関係が無い。仲間など、この世にいない。誰もいない。誰もいないのだ。世界には。君の都合のいいものなどいない。君を理解するものなどいない。君を助けてくれるものなどいない。君を癒すものはいない。お前は一人だ。
ひとりで院を出て行った。
だからお前はひとりのままだ。
見つけてくれたひとを壊した。
見出してくれたひとも壊す。
それで何がいけない? お前には何も無い。お前は誰でもない。
お前はただ。この世界から好きなようにされているだけのもの。
お前は誰にも関係が無い。
誰を壊そうが関係が無い。
操られたカブトを大蛇丸が迎え撃つ、カブトを捕え押さえつけてサソリの掛けた術を解いた。カブトの憎しみが戻ってきた。忘れた憎しみが戻ってきた。カブトを捉えた大蛇丸が笑う。
ねェカブト・・・これで分かったでしょう? アナタには私しかいないこと。アナタには仲間なんていないこと。本当のアナタを覚えているのも理解するのも助けるのも私だけだと思わない? サソリは酷い男でしょう。アナタの記憶を消したのね、サソリのやりそうなことだわ。
サソリは生まれたときから忍。
忍のやることは分かっているでしょうカブト。
アナタだって忍だもの。忍のやるべきことは分かってるはずよ。
ねえ考えてみることね。カブト。
アナタ、記憶が無いのでしょう?
マザーに拾われる前のこと。
アナタの記憶を消したのは誰だったのかしら。記憶は消えたの? 頭を怪我して? 消されたと言う方が説得力があるわ。それはサソリかもしれないわね。そうじゃないのかもしれない。だけどもそうかもしれないわね。こんな気はしないかしら?
アナタはアナタのマザーに出会う前にサソリの子供だったのよ。サソリじゃないかもしれないけれど、記憶を消す術があるのよアナタも体験したとおりにね。アナタは誰かの子供だった。忍の子供。そしていらなくなって捨てられたの。そうじゃないかしら?
そうでなくても何かを知りすぎていたのなら、当然記憶は消さないと。
アナタを消すか記憶を消すか。二者択一を迫られて記憶を消したのかもしれないわね。それなら多少は良い親だったのかしらね?
何も覚えていないでしょう?
思い出すことも出来ないでしょう?
アナタ。院に居た時からずっと。
皆にとって裏切り者だったのよ。
木ノ葉に来る前からそうだったのよ。忘れてしまっていただけで。
アナタもやっぱり忍。とてもいい、忍。
木ノ葉がアナタを忍にして壊したけれど。元からアナタは裏切り者よ。
世界は崩壊してしまった。
カブトは笑う。高らかに。ハハハ ハハハ ハハハ ハハハ。
大蛇丸の前で笑い続けた。笑うカブトを大蛇丸も満足そうに見ていた。
世界は壊れてしまった。
無くなってしまった。
破壊されてしまった。
誰が壊した? 自分だ。カブトだ。カブトが自分で破壊したんだ。
世界はマザーそのもので。だけどもカブトが自分で壊した。
マザーが居ない世界でも、カブトはまだ生きている。
生きている。生きている。生きている。
生き続けてやる。強く。
憎しみ? 復讐? 怨嗟? それが何だと言うんだ。
そうだくだらない物事だ。だけども消えてなくなってどうする。消してしまってどうする。勝手に消してしまってどうする。ああ確かにくだらない憎しみだ。くだらない復讐だ。世界中に毒を撒き散らし、怨嗟の念を吐き散らかして、憎しみの虜になってしまった。こんな自分はもうマザーの子供には戻れない。だからその、くだらないことを。くだらないからいっそ徹底的にやるべきだ。感情に振り回されてどうするんだ。感情を磨耗させきった上で実行するんだ。冷静に。辛抱強く。自分を殺して。それが忍だ。そう教わって来た。
うつろな男のうつろな言葉、うつろだけどもちからのある言葉。
復讐を超えた男復讐心を磨耗させた男自己の永遠を追いかける男。
カブトの幼稚な憎しみを否定した。高らかに笑い忘れさせた消し去った。そんなことより永遠に残るものを作れ。操れ殺せ壊せ奪え。ぶち殺して引きずって使って使い捨てにしろ。お前にされたことをそのまま返してやれ。何がいけない? いけないと思うか? 甘ェんだよ。
悔しかったらオレから奪え。権利を獲得して見せろ。
そしたらお前を認めてやる。
なんと素晴しい世界認識。おかげで世界の見え方が変わった。
とてもうれしいよサソリ。
感謝しているよダンゾウ。感謝しているよ木ノ葉。感謝してますよ大蛇丸様。ボクの存在意義が見えてきた。世界に対して徹底的にやることだ。全てはその為だけにあるのだ。世界に壊されたのだから世界を壊して高らかに笑う。関係が無いだって? いいや関係はある。ボクは忍だ。忍であるボクの関係者は全忍だ。全てがボクの関係者だ。忍であることそのものが忍のボクに関係するのだ。
この世界を壊すのだ。
忍の世界を壊すのだ。徹底的に。
木ノ葉の為にと大儀を掲げボク達を壊したもの。
安いものだと侮ったもの。
ボクを見下し不名誉と汚名を与えたもの。
忍に生まれ忍に育ち忍に成り。
忍に成ったものは全部がボクの対象者だ。それは誰でもいい。
無関係のものなど何処にもいないのだ。
あいつらの大切にしているものを奪うのだ。
あいつらの信念を砕くのだ。
あいつらの存在を否定してやるのだ。
あいつらを。支配して操って優位に立って壊すのだ。
そしてソレは復讐なんかじゃない。ただルールに従って行うだけだ。忍の世界が出来た時から始まっている純然たる世界のルール。社会のルール。忍のルール。戦争のルール。この世界のシステムに沿ったルール。忍になった以上忍のルールに従うのは当然だ。その為に何をされても何を行ってもそれは忍になった自分の責任だ。自分でなっておいてルールに従わないなど愚かなことだ。
全ての忍の頂点に立って、そして真理を見る。
大蛇丸様。やってくださるんでしょう大蛇丸様。
だってアナタも木ノ葉の人間。
ボクを連れ去った木ノ葉の人間。
アナタはボクを見出した。マザーからボクを引き離し。ボクからマザーを引き離し。闇の世界へ連れて行ってくれた。アナタはボクにとって木ノ葉そのもの。アナタが木ノ葉を体現するもの。
木ノ葉の人間が木ノ葉の人間を壊す所を見せて下さい。
そして高らかに笑うのだ。
世界の支配者は私だと。この世の真理を手に入れるのだと。
そして木ノ葉は滅びるのだと。
そして木ノ葉はボクのものになる。
木ノ葉隠れの里全てを、平気な顔をして食べてしまう。食べてやるとも水も空気も食べ物も、薬も毒も闇も光も渾然一体となってボクの腹の中に納めてやるよ。忍の全てを手に入れて。身体にとりこみ完成された生命になる。そして。・・・そして。
・・・そうしたら。
忍を全てたいらげたら。ボクは何処かにいけるのかな。
ボクは本当の自分に戻れるのかな。
ボクをマザーは思い出してくれるのかな。
皆と兄弟になれるのかな。
みんなとなかよくできるのかなあ。嘘つきをやめることはできるのかな。
こんなカブトでも。まだ生きていていいと思えるようになるのかな。
世界は崩壊したのに、世界に準じて死ねなくて。
マザーを壊してしまったのに、一緒に死ぬことも出来なくて。
生き残ってしまった自分を許せるようになるのかな。
PR
この記事にコメントする
カレンダー
06 | 2025/07 | 08 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
最新記事
カテゴリー
ブログ内検索
プロフィール
HN:
秋月草水(あきつきそうすい)/もにもに)
HP:
性別:
女性
趣味:
文書・畑・散歩・読書
自己紹介:
NARUTOの
薬師カブト愛がちとひどい生き物
畑LOVE
性格:サソリ様か大蛇丸様かというとどっちかって言うとサソリ様なんじゃねェのかな年近ェし…
薬師カブト愛がちとひどい生き物
畑LOVE
性格:サソリ様か大蛇丸様かというとどっちかって言うとサソリ様なんじゃねェのかな年近ェし…
アクセス解析